「認知症になりやすい生活」と「なりにくい生活」(前編)

 

今回は「認知症になりやすい生活」と「なりにくい生活」について見ていきましょう。

 

予めご承知おきいただきたいことは、アルツハイマー型認知症の場合、若いときから脳に蓄積された原因物質によって、脳が萎縮してしまうことが主な原因ですので、今回のお話しの内容は「これさえやっていれば絶対に予防できる」というものではありません。

むしろ、「これさえやっていれば、これさえ食べていれば予防できる」と確証のあるものが存在していないのが、認知症予防の現状です。

しかし、「認知症になりにくい生活習慣」を送っている方とそうでない方とでは、発症までの期間の長さや、発症後の進行の速さに大きく差が出てくるという研究結果も出ていますので、やはり、「認知症になりにくい生活習慣」を送ることは、予防を考えるうえで無視できません。

また、「認知症になりにくい生活習慣」は、認知症の予防なみならず、多くの点で「生活習慣病の予防」とも共通していますので、一石二鳥です。

  

■「認知症になりやすい生活」と「なりにくい生活」の違い

 この二つの違い、結論から言ってしまいますと

「活性化した生活」=「主体的な変化に満ちた生活」=認知症になりにくい生活

「漫然とした生活」=「惰性的で変化の無い生活」=認知症になりやすい生活

です。

 早速、具体的に見ていきましょう。

 

■陥りやすい「漫然とした生活」

例えば、こんなことに心当たりはありませんか?

 

□ 一日中テレビを見てゴロゴロしている日が多い。

□ 曜日・時間を気にしなくていい生活を送っている。

□ 一日のうちに取り立てて予定がない日が多い。

□ 体を動かす機会を特に作っていない。

□ 一日のうちで、誰とも話すことがない。笑うことがない。

 

これらの生活習慣は、特に定年退職して一呼吸置いた後の男性に見られがちな傾向の一部です。

「これまで散々忙しく仕事をしてきたのに、急に時間を余らせたもんだから、何をしていいのか分からなくなる。」なんてお話しは、皆さんも耳にしたことがあるのではないでしょうか。

私も、突然連休をもらうと、3日目には何をしていいのか分からず、結局一日テレビを見ながら寝ているなんてことがありましたが、それが毎日ですから、そうならないように意識していなければ、そうなってしまうのは、自然な流れです。

しかし、お気づきの通り、これこそが「漫然とした生活」なんです。

「こうしよう」と意識しないでいて自然に陥ってしまうので、本当に怖いんです。

 

■「脳」が使われているかどうか

上に挙げた生活習慣には「脳を使わない」という共通点があります。

脳を活性化させない生活が続くと、使われない脳細胞は徐々に死滅していきます。結果、脳の機能も少しずつ、少しずつ低下してしまいます。(かなりプロセスを省略して表現していますが。)

 介護の現場で見ていても、漫然とした生活、あるいは単調な生活をしている方の認知機能の低下傾向があるというのが実感です。

 

ちなみに、体の運動機能を使わない期間が続いた結果、本当に機能が低下してしまって、動けなくなることを「廃用症候群」と言います。例えるなら、アルツハイマー型の認知症(特に高齢になってから発症するもの)は「脳の廃用症候群」とも言えるでしょう。

 

(後編に続く)