「認知症になりやすい生活」と「なりにくい生活」(前編)

「認知症になりやすい生活」と「なりにくい生活」(前編)

 

今回は「認知症になりやすい生活」と「なりにくい生活」について見ていきましょう。

 

予めご承知おきいただきたいことは、アルツハイマー型認知症の場合、若いときから脳に蓄積された原因物質によって、脳が萎縮してしまうことが主な原因ですので、今回のお話しの内容は「これさえやっていれば絶対に予防できる」というものではありません。

むしろ、「これさえやっていれば、これさえ食べていれば予防できる」と確証のあるものが存在していないのが、認知症予防の現状です。

しかし、「認知症になりにくい生活習慣」を送っている方とそうでない方とでは、発症までの期間の長さや、発症後の進行の速さに大きく差が出てくるという研究結果も出ていますので、やはり、「認知症になりにくい生活習慣」を送ることは、予防を考えるうえで無視できません。

また、「認知症になりにくい生活習慣」は、認知症の予防なみならず、多くの点で「生活習慣病の予防」とも共通していますので、一石二鳥です。

  

■「認知症になりやすい生活」と「なりにくい生活」の違い

 この二つの違い、結論から言ってしまいますと

「活性化した生活」=「主体的な変化に満ちた生活」=認知症になりにくい生活

「漫然とした生活」=「惰性的で変化の無い生活」=認知症になりやすい生活

です。

 早速、具体的に見ていきましょう。

 

■陥りやすい「漫然とした生活」

例えば、こんなことに心当たりはありませんか?

 

□ 一日中テレビを見てゴロゴロしている日が多い。

□ 曜日・時間を気にしなくていい生活を送っている。

□ 一日のうちに取り立てて予定がない日が多い。

□ 体を動かす機会を特に作っていない。

□ 一日のうちで、誰とも話すことがない。笑うことがない。

 

これらの生活習慣は、特に定年退職して一呼吸置いた後の男性に見られがちな傾向の一部です。

「これまで散々忙しく仕事をしてきたのに、急に時間を余らせたもんだから、何をしていいのか分からなくなる。」なんてお話しは、皆さんも耳にしたことがあるのではないでしょうか。

私も、突然連休をもらうと、3日目には何をしていいのか分からず、結局一日テレビを見ながら寝ているなんてことがありましたが、それが毎日ですから、そうならないように意識していなければ、そうなってしまうのは、自然な流れです。

しかし、お気づきの通り、これこそが「漫然とした生活」なんです。

「こうしよう」と意識しないでいて自然に陥ってしまうので、本当に怖いんです。

 

■「脳」が使われているかどうか

上に挙げた生活習慣には「脳を使わない」という共通点があります。

脳を活性化させない生活が続くと、使われない脳細胞は徐々に死滅していきます。結果、脳の機能も少しずつ、少しずつ低下してしまいます。(かなりプロセスを省略して表現していますが。)

 介護の現場で見ていても、漫然とした生活、あるいは単調な生活をしている方の認知機能の低下傾向があるというのが実感です。

 

ちなみに、体の運動機能を使わない期間が続いた結果、本当に機能が低下してしまって、動けなくなることを「廃用症候群」と言います。例えるなら、アルツハイマー型の認知症(特に高齢になってから発症するもの)は「脳の廃用症候群」とも言えるでしょう。

 

(後編に続く)

無視できない障壁「病院へ行く」との戦い

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今回は、無視できない障壁「病院へ行くこと」にどうやって踏み切るか、です。

 

前回は「自分や家族の認知症状の出始めを、どうやって察知するか」についてお話いたしました。

今回は、気付いたうえでの第一関門、「病院へ行く」という障壁をどうやって超えるか、についてお話します。

 

「いやぁ、心配だったら病院行けるでしょ。」と思う方は、前半は飛ばして「受診のコツ」からお読みいただいて大丈夫です(笑)

>>前半を飛ばす

 

■高い障壁…病院へ行く

そもそも、自分が認知症と診断されると思ったら、恐ろしくて病院へ行くことすら躊躇してしまいますよね。日頃の不安が大したものでないなら、「まぁ、いいか、後で。」と思ってしまうのは、自然な流れです。

 

私も、23歳の時に父が他界した折、精神的に落ち込んで、心療内科の受診を勧められたときは、何とも言えない嫌な気持ちになったことを良く記憶しています。

私ですらそうですから、皆さんにとって「心配だから病院へ行く」ということが、どれだけ敷居の高いお話しか、僅かながらでも、お気持ちはわかる気がします。

(実際に、介護の現場でも、「自分が認知症かもしれない。じゃぁ、早速病院へ行こう!」という方は、ごく稀です。)

 

一方で、認知症が進行して悪くなっていかれる方や、ご家族との関係が悪化していく方や、徘徊で数日帰ってこなかった方を目の当たりにすると、「もっと早く病気に気付いていれば、ご本人もご家族も、こんなに苦悩することは避けられたのではないか」という想いがよぎります。

 

それを思うと、やはり「心配であれば一度は受診する」ということが、認知症予防や悪化防止、改善の大切な、大切な、大切な!第一歩であり、そこに勇気を持って臨む、ということが非常に重要な要素であり、このお話しの結論です。

 

少しでも受診のハードルが下がるように、次は「受診のコツ」について見ていきましょう。

 

■「コツ」の前置き:老人性うつと認知症

病院にかかるにも、ちょっとした「コツ」があります。

ここでいう「コツ」とは、「受診する際に押さえておきたいポイント」を差します。

「コツ」の理解を深めるために、ここで少し寄り道をします。

 

実は、認知症と関わりの深いものに、「老人性うつ」があります。(そもそもこの受け容れがたい名称がどうなんだという問題もありますが、一旦置いておきます…。)

 

老人性うつは、記憶障害や被害妄想などが出現する場合もあり、認知症と症状が似ている為、医師でさえ問診だけでは判断が難しいと言われています。

 

(老人性うつについては、また別の記事で詳しくお話ししたいと思います。)

 

一部には「医者が診断を誤って、間違った薬を出して悪くなったという話があるから、自分は病院へは行かない。」と、固く決意している方もいらっしゃいます。「ただでさえ不安なのに、さらにわけの分からない薬で悪化することは避けたい。」という気持ちはとてもよくわかります。

 

しかし、残念なことに、放置しておいて悪くなることはあっても、良くなることはありません。

仮に認知症症状が発症して進行すると「自分は大丈夫。ボケてないから病院へ行く必要はない。」と、頑なに受診を拒むようになり、治療が遅れて症状がさらに悪化するという傾向が多く見られます。

(こうなると、受診一つをとっても介護職だけでは難しく、ご家族のご理解と、ご協力がかなり必要になります。)

 

 受診のコツをつかんだうえで、しっかり検査と診察につなげれば、そういった状況は防ぎやすくなりますので、やはり、早めの受診をすべきと言えます。

 

■というわけで「受診のコツ」

老人性うつの原因の主なものは、「自身の状況の変化。社会との離別感。」などです。

ですから、受診時には医師に、「最近の生活の変化」を伝えたり、「老人性うつなのか、認知症なのか、あるいは他のものなのか」と、明確に質問してしまっても良いでしょう。

もっと言えば「誤った薬が出て、症状が悪くなったと言っている人がいたから、しっかり検査してもらいたい。」と、検査を受けたいという意向を伝え、検査してもらいましょう。

 

お医者さんを目の前にすると、なかなか言いにくいこともありますよね。

そういうときは、ご家族が一緒に行けるなら、ご家族から口添えしてもらうと、よりラクかもしれません。もし、ご家族の同席が困難な場合は、あらかじめ、伝えることを紙に書いておくと、言い洩らしが生じにくくなります。

 

■受診のコツ~主治医に相談

介護の現場でも、「早めに受診を」とお伝えすると、「どこか良い病院あるかしら?」とご相談を受けます。多くの方は主治医がいらっしゃると思います。主治医の先生に相談されるといいでしょう。その先生が認知症専門医であれば相談に乗ってくれるでしょうし、専門外であれば、専門医を紹介してくれるはずです。

「どこの病院がいいかしら」と質問されることもありますが、病院の善し悪しはドクターとの相性もありますので、一概にどこが良いとは言いにくいという事情があります(苦笑)

 

これについては、ご提供できる情報がありましたら、記事で追加していきます。

 

今回のお話しのポイントは

・心配になったら、とりあえず主治医に相談。

・老人性うつなのか、認知症なのかをしっかり検査してもらう。

・そのために、生活上の変化、忘れっぽくなったことでの困りごとをまとめておく。

でした。

 

しかし、「病院に行くほどの心配はしてないんだけど、とにかく認知症を予防したい」という方も多いでしょう。

 

というわけで、次回は「認知症になりやすい生活」と「なりにくい生活」について見ていきましょう。

 

今回は少し長かったですが、最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

 木村周吾

(参考資料:認知症は怖くない18のワケ・浦上克哉 著/ 健康管理士一般指導教員受験対策講座・日本医協学院 発行)

認知症を患っていても最後まで心(感情)は残っている

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みなさま、こんにちは。スマートライフ研究所の秋山です。

今回は、先日私がデイサービスで働いているときに起きた、実際の出来事をお話しします。

■デイサービスでの出来事

私は現在、週に2日ほどデイサービスで生活相談として働いています。

デイサービスを開設した4年前よりも、明らかに認知症を患っている方は増えています。もちろん認知症状がない方もいらっしゃいますが、約8割は認知症を患っています。

人の性格がまちまちであるのと同じように、認知症の症状の出方もまた人それぞれ。これが正解というやり方はなく、その人にあったケアを行っています。

 

私が、いつものようにレクリエーションをしているときでした。

レクリエーションの内容は「子供の頃の思い出」でした。一人ひとり子供の頃の楽しかったことや、心に残っていることなどを話してもらっていると、ある認知症の方(A様)がレクリエーションの内容とは違うことに興味を持ちだしました。

A様は机の上のティッシュペーパーが気になったのか何枚も取り出しは折って、取り出して折ってを繰り返していました。

周りの方々は「どうしたのか?」 「なにしてんだ?」という反応をします。ですが、認知症のケアの手法ひとつに認める・否定しない・取り上げないということもあるので、私は特に止めることもせずにレクリエーションを進めながら、その方の行動を見守っていました。

 

すると、A様の隣に座っていた方(B様・軽度の認知症の方)が、突然、不安な表情で「帰りたい。人に笑われるのは嫌だから。」と席を立とうとされました。B様に特に現れやすい症状は「被害妄想」です。なので、周りのみんなが笑っていると、自分のことを笑っているのではないか、と不安になってしまうのです。スタッフ何名かで、B様の不安な気落ちを一通り伺ったあと、「大丈夫ですよ。Bさんのことで笑っているんじゃありませんよ。」とお話したところ、一旦は落ち着きを取り戻してくださいました。

ですが、今度は「帰りたい・・・・肩が痛い・・・」と、形を変えて不安を訴えられました。

 

その時でした。ティッシュを折っていたA様が、B様の肩をさすって「大丈夫だよ。笑ってないから。」と、とても優しい表情で語りかけてくれたのです。

私を含め、他のスタッフも嬉しくて泣いてしまいそうでした。

その後、B様は落ち着きを取り戻され、レクリエーションも最後まで参加されたのです。

 

認知症を患っても、何もかもできなくなるわけではないのです。

A様はB様に対して、心から「大丈夫だよ」と安心感を与えてくれました。たとえ、うまくご飯を食べられなくても、さっき言ったことを忘れても関係ありません。優しい心が残っていて、友人の心を癒すことができたのです。そんなA様は素敵だなぁと思いました。

 

確かに認知症を患うと、最近のことを忘れてしまったり、以前はできていたことができなくなったりします。ですが、心(感情)は最後まで残っているのです。

きっと、日本中の介護の現場で、こんな物語が日々、繰り広げられています。

「認知症だから全部忘れちゃうんでしょ」「認知症だから何を言ってもわかんない」という認識は間違いです。

 

 「認知症を患っていても最後まで心(感情)は残っている」

 

 

もしも、認知症を患っている方と接する機会があれば、この言葉を思い出していただき、心の心を通い合わせるコミュニケーションをしていただければ本当に嬉しいです。

秋山恒夫

認知症になると、すべての人が徘徊するの?

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みなさま、こんにちは。スマートライフ研究所の秋山です。

今回は、認知症を正しく理解していただくために、認知症に対して多くの方が思っているイメージを少し変えていただくためのお話です。

 

■認知症に対して、どのようなイメージを持っていますか?

 たとえば、「深夜に徘徊する」「突然大声を上げる」「暴力を振るう」などがあると思います。多くはニュースなどで見る、決して明るくない話題や取り扱われ方がそのままイメージに直結しているように感じます。

 

確かに、実際の介護の現場では大声を上げたり、徘徊する方もいらっしゃいます。しかし、それはごく一部の方であって、すべての認知症の方に起る症状ではありません。

 

認知症になっても、普通に会話をすることができ、冗談を言って笑って楽しく過ごしている方もたくさんいらっしゃいます。

 

■ここで知っておきたいこと

暴力や徘徊といった症状は、すべての認知症患者に、直ちに、必ず起こるわけではなく、元々の性格・生活環境・接し方など、ほかの要因があって起こるものであることが、最近の研究で明らかになってきました。(もちろん、一生懸命介護をしていても病気の進行等により徘徊などの症状がでる場合もあります)

 

認知症の初期段階は、病気と思えないほど症状は穏やかです。

初期の段階から、その人(認知症の方)に接する周りの人達が正しい理解のもと、その人に適した環境作り・適切な接し方をすれば、症状を遅らせたり、徘徊などの症状が減らせる可能性もあります。

 

認知症を正しく理解するために、まずは認知症に対するイメージを変えてみるのも、大切なことです。

秋山恒夫

家族や自分の認知症症状に気付くために知っておきたいこと

blog4

今回は、家族・自分の認知症状にどうやって早く気づくか、です。

 

前回、「認知症によるモノ忘れ(記憶障害)は、“体験したこと自体の記憶が抜ける”」ということをお伝えいたしました。

今回は、「どうやって自分で(または家族が)認識すればいいのか。」です。

 

結論から申し上げれば「人の言葉に耳を貸す。耳を貸せるうちに…」ということが最も身近な方法です。(「耳を貸せるうちに…」というのが、やや乱暴な表現かもしれませんが、その意図は後程。)

■周囲からこんな言葉がよくでてきたら注意

日頃一緒にいたり、会うことが多い人(家族や友人、ご近所さんなど)が

「この前もその話ししてたね。」とか、

「この前一緒に行ったじゃん!覚えてないの?!」とか

「この前、なんで約束すっぽかしたの?(重要な約束を忘れる)」

というようなことを言い始めたら要注意です。

 

その言葉を聞いて

「そういえば、この前も話したな。」とか

「ああ、そういえば行ったな」とか

「ああ、そういえば約束してた!」

と思い出せれば、ただのもの忘れです。

年齢によるもの忘れの場合は「ヒント(記憶の足がかり)があれば思い出せる」という特徴があります。

しかし、「なにおかしなこと言ってるんだ?!」「そんなことなかったでしょ?!」と思ったら、腹を立てる前にハッとしてください。

繰り返しになりますが、認知症の記憶障害の場合、話した体験、行った体験そのものが記憶から抜けていることが多くあります。つまり「指摘されていることに心当たりがない」ので、「何を言ってるんだ?!」となってしまうわけです。

当然、心当たりのないことを指摘されるので、人によっては、怒り出したり、興奮して否定したりするという現れ方をします。それはそうですよね!心当たりが全くないのに言いがかりをつけられたら、怒りもしますよね(笑)(この「怒り出す」については、また別の記事で書こうと思いますが、「怒りっぽくなる」というのも、心配な変化です。)

それらの指摘を「一人の人が言っているのではなく、複数の人が言っている」場合、本格的に受診などの対応を考えましょう。一人の人が指摘をしている場合は、必ずしも指摘内容が正確でない場合もあるので、自分の最近の言動におかしいところがないか(同じことを何度も言っていないか。大事な約束を忘れていないかなど)を、ほかの人にも聞いてみるのもいいでしょう。

 

■その一歩を踏み出す勇気を

恥ずかしいかもしれないし、勇気がいるかもしれません。しかし、その後のご自身の人生を、「楽しく、自分らしく生きていく」のか、「放置して、徐々に迫りくる不安にさいなまれながら生きていく」のかを考えれば、「一時の恥」を乗り越えて前者を選択することを、今のうち(障害が他人事のうち)に、自分に言い聞かせておくことは、思っている以上に大事なことなのです。認知症は早く発見できればできるほど、進行を遅らせることができます。だからこそ、この最初の障壁をどれだけ早く乗り越えるかが、一つのカギとなります。

 

というのも、症状が進行してくると、病気を自分で受け容れることが難しくなり、病院へ行くことを拒んだり、周囲の言うことに素直に耳を傾けられなったりする傾向が多々見られます。これが、本当に多い。これは現場の肌感です。

そうこうしているうちに、症状はさらに悪化し、さらに受診をかたくなに拒み、周囲の協力すら煩わしく思い、「自分でできるんだから放っておいて(実際にできていなくても)」となってしまう。

そんな負のスパイラルが日本中で起きた結果、認知症患者が460万人を超え、さらに急速な勢いで増えているわけです。

この負のスパイラルにハマらないためにも、先述の通り「認知症や記憶障害が、他人事と思えているうち、すなわち、認知症に対して冷静でいられるうちに、正しい知識を身に着け、正しく警戒すること」が必要なのです。

これが、最初に書いた「耳を貸せるうちに…」です。

 

■現場から

私が訪問しているお宅で、こんなお話がありました。

「(利用者のお子さん(中年層)が)一緒に出掛けたことを全く覚えていなかった。『一緒にあそこでご飯食べて、こんな話ししたじゃないか』って言っても思い出せなかったようだ。酒も飲んでなかったのに…。家族に『そんなことあった?』って聞いて、自分でも驚いていたようだ。」

これは心配な忘れ方の例です。結局、すぐに受診をして、原因が別の病気であることが確認でき、治療を進めて、症状が落ち着いたというケースでした。ご本人が周囲の指摘に耳を傾け、受診を決断したことが、進行を食い止めた好事例です。

また、このケースのように、認知症に限らず、ほかの病気や薬の影響で一時的に記憶障害が生じる場合もあるので、「心配なもの忘れ」=認知症とは言いきれませんが、いずれにしても、病院で検査を受ける必要があります。

 

■その他の「気付くチャンス」

また、気付くチャンスは他にもあります。

75歳以上では運転免許の更新時に認知機能の検査が加わりますし、自治体によっては、市で行う健康診断の項目に、一定の年齢以上で「認知機能検査」を加えている場合もあります。または、町内会の取り組みとして、一定の年齢以上の方が自主的に簡易検査を定期的にやっている地域もあり、予防も含めた仕組みがうまく機能しているようです。

警察庁ホームページ「講習予備検査(認知機能)について」(リンク)

※簡易検査の方法については、いくつかの代表的な方法がありますので、別のところでお話します。

 

それらの検査結果が思わしくなければ、あらためて病院へ行き、検査を受けた方がいいでしょう。

今回のお話のポイントは

・認知症が他人事のうちに、正しい対処法を知っておきましょう。

・周囲の人からの指摘が増えたら、腹を立てる前に、耳を傾けましょう。

でした。

次回は、「無視できない要素「病院へ行く恐怖心・嫌悪感」との戦い」について、お伝えしたいと思っております。

 

今回も、最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

(参考文献:認知症は怖くない18のワケ/浦上克哉 著)

そのモノ忘れ、年のせい?認知症?~その違いとは~

blog3

■認知症を正しく恐れる

今回は、認知症を正しく知り、闇雲に不安に駆られるのではなく、正しく恐れて、予防をしていきましょうというお話です。

 

■「あれ?何しに来たんだっけ?」で「ヒヤッ」っと

このページにお立ち寄りいただいた方の多くが、もしかすると、そんな経験をされているのではないでしょうか。(私は、しょっちゅうです(笑))

 

私も日頃、訪問介護の現場でよくこんな言葉を耳にします。

「こんなことも思い出せなくて、私ももう認知症が始まってるわね。」

 

テレビやラジオ、近所の人、身内などなど、世間で「認知症」という言葉を耳にする機会が増えて、自分も「あれ?」と思うことがあれば、そう思うのはとても自然なことです。

なので、そのことで「もしかして、そんなこと思うのは自分だけだろうか」などと、不安に思う必要はありません。むしろ、ある程度の年齢になったら、その不安を抱いていない人のほうが少ないのではないでしょうか。

 

すると、その物忘れが「年齢によるもの」なのか「認知症によるもの」なのかが気になるところですね。

 

実は、これらには違いがあります。

その違いを理解しておくだけで、物忘れに関する不安感は変わってくるはずです。

 

■年齢による物忘れと認知症の記憶障害の違い

たとえて言うと「昨日の夕食のメニューを思い出せない」のか、「昨日夕食を食べたこと自体を思い出せない」のか、の違いです。

 

つまり、「体験そのものを覚えているか否か」が一つの指標になりますね。

前者が年齢による物忘れ、後者は認知症による記憶障害が疑われます。

 

これを最初のお話にあてはめると

「何かをしようとしていたんだけど、なんだっけ?」なのか「何かをしようとしていたことを忘れて他のことを始める。(何かをしようとしていたことを思い出さない。)」なのか、ということです。

つまり、「ついさっきのことなのに思い出せない」=「認知症」とは限らないということです。

 

勘の良い方はお気づきでしょう。

 

「体験自体を覚えてないんだったら、自分で気付きようがないじゃないか。」

 

そういうことなんです!

 

「忘れた」とか「覚えていない」ということ自体の記憶がないので、自分で気付くケースは稀かもしれません。家族や友人に指摘されて気付かなければ、気付かないでそのまま、ということになります。

 

むしろ、自分では問題だとは思っていないので「なんで周りの人たちはあんなことを云うんだろう。」と疑心暗鬼になったりするわけです。

 

余談ですが、そういった意味でも、「一人暮らしであっても、ご近所やご友人との付き合いを続ける」って、大事ですね。

 

「短い時間に、同じ話を何回もする」というのは、「話したこと自体を覚えていない一方で、『この話題の時にはこれを伝えたい』という気持ちや習慣からくるものだけが残り、「何度も言う」という形で現れると考えられます。

 

今回のポイントは

・年齢による物忘れと認知症による記憶障害には違いがある

・体験の記憶があるかどうか。

でした。

 

「では、どうやって気づけばいいのか。」「もっと早く気付くポイントはどこか。」というあたりの話については、また別の記事でお話しします。

 

最後まで、お読みいただきまして、ありがとうございました。

「認知症になりやすい生活」と「なりにくい生活」(後編)

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(前編の続き)

 ■「活性化した生活」とは?

さぁ!では、どういう生活をおくると、認知症になりにくいのか?です。

 「漫然とした生活」=「脳を使わない生活」ということは、「脳を使う生活」をすれば、脳が活性化し、認知症になりにくい生活を送ることができるわけです。

 「脳を使う生活」とは、「主体的な変化に満ちた生活」です。言い換えれば「自分の意志で、あらゆることに挑戦する生活。チャレンジを楽しむ生活」と言えます。

(かなり「青春真っ只中」な雰囲気が漂う言葉ですが、実はこの「青春感」は、認知症予防を考えると馬鹿にできないと思っています。)

 

チャレンジの場は、家の中や、地域、友人との繋がり、趣味の繋がりなど、あらゆる形でのコミュニティ(人のかたまり)の中にあります。つまり、やろうと思えば、どこでも挑戦することができます。

 

■キーワードは「主体的に」「無理なく」「楽しく」

例えば、「旅行をする」にしても、「連れて行ってもらう」のと「自分が計画して行く」のとでは、頭を使う量はまったく変わりますよね。これが「主体的に」ということです。

地域行事などで「参加するだけ」ではなく、「企画する側に回る」のも良いでしょうし、同じ趣味を持つ人がいるなら「集まって情報交換しましょう」とか「発表の場を作りましょう」というのも、立派な主体性です。

 

しかも、それらを「無理なく」「楽しんで」やることが非常に重要です。

無理をすると、過剰なストレスになってしまい、原因物質が溜まりやすくなるので、逆効果ですし、無理をすると「続かない」という問題もあります。

適度なストレスは、脳を活性化させますので、「無理なく、楽しく、充実感を得られる程度」を探りながら、挑戦していきましょう。

 

■地味に大きな課題「…続かない」

継続する。大変ですよね。私も苦手です。

なかなか続かないときには、こんな風にやってみてはいかがでしょうか。

 

<趣味がある方>

・他からの評価を受ける環境に身を置く:評価を受けることで、励みになったり、触発されたりします。

(例)出展や投稿をしてみる。グループに入る。SNS(フェイスブックやラインなど)に載せる。

 

・独りでやるより、複数人でやる:独りだといつでも辞められますが、複数人だと、そうはいきません。また、ここでも評価を受けることで好循環が生まれることもあります。

(例)サークルに入ってみる。仲間うちでグループを作ってみる。勝手にライバルを設定する。

 

<趣味がまだないという方(趣味がある方でも適用可)>

・日常のサイクルに入っているものを工夫する:日常的に行っていること(散歩・掃除・料理など)を効果的・効率的にやる方法を考えながらやってみると、非常に頭を使います。

(例)散歩の歩数を記録、日々増やしてみる。いつもと違う料理を作ってみる。効果的な掃除の方法を考えてやってみる。

 

 いずれも、まじめにやろうと思うと、結構しんどいと思いますので、「少しずつ、自分に合ったもの、こと」を探りながら、やっていけばいいと思います。「ああ、また続かなかった」と落ち込む必要はまったくありません。その挑戦自体に価値があるので、「よし、次は何に挑戦しようか」くらいに楽しんでしまって、ちょうどいいんです。

 

■脳トレはどうなのか?

脳トレと言われている、ドリルやパズルなども、楽しんで自発的に取り組めるなら良いのですが、課題的に周囲から言われてやると、こなすだけになって効果が少なかったり、ただのストレスになって逆効果になったりしますので、楽しくなくなったら辞めてしまってもいいかもしれません(笑)

 

■外に出て人と話すだけでも、色々スゴイ!

会話は「相手の声を聞き、表情を見て、考え、返す。」の繰り返しですので、脳を活性化させます。知らない人と話すのは、さらに神経の集中を要しますので、より脳を活性化させます。

「外に出て人と話す」だけでも、運動と会話、時には新しい出会いがセットになってしまう、すごいことなんです。

 

でも、気を付けてください。一方的に話し続けたり、同じ話を繰り返したりするのは、「脳の同じ場所を使っているだけ」で効果が少ないので、「脳の活性化」を考えるなら、「よく聞いて、返す」ことを心がけましょう。

 

 

さぁ、少し光が見えてきたでしょうか。「主体的に楽しく無理なくチャレンジ」です!

少しでも「挑戦してみようかな」と思われた方は、早速行動に移してみましょう。

一番よくないことは「なるほどねぇ」と言ったきり「何もしないこと」です(笑)

 

しかし、「そんなことは分かってる。それをやる気力が出ないから困ってる。」という方もいらっしゃいますよね。

 

そんな方には、運動をお勧めします。体力や筋力をつけることで気力も増大する例も多くあります。

というわけで、次回は「有酸素運動と無酸素運動とストレッチ」についてお話しします。

 

今回はだいぶ長くなってしまいました。最後までお読みいただきましてありがとうございました!(私はこのブログを書くだけでも、かなり脳が活性化している気がします。(笑)